医師の実力主義時代

ひと昔前までの医師の世界は、いわゆる医局制度が強い権威と影響力を誇ってきました。医局とは大学病院などにおける研究室や診療科ごとに組織立ったグループを言い、医師の教育・研究・診療などの役割を持ちます。医師たちは大学卒業・医師国家試験に合格と同時にどこかの医局に所属し、医局内で研修をはじめ様々なことを学び、経験を積んでいきます。医局は診療科や専門領域ごとに分科しているため、専門知識を潤沢に学び習得できる環境にあります。また上司・先輩・同輩・後輩など各年代の医師たちと知り合うチャンスが多いため、人脈を広げやすいメリットもあります。将来的に開業したい時にも業界情報が入りやすく、何かとサポートを受けられる面もあります。また人事組織としての役割においては、人材の確保、常勤・非常勤医師の柔軟な補充・調整など人事配置に寄与してきた面もあります。

しかしながら、時には医師個人の意向を無視した採用、希望していない病院への配属、理不尽な配置転換、など医局内の一教授の独断で医師の勤務先や人事配置が決まっていました。また技術面においては医局内で講師、助教授、教授、と上位のポジションを得なければ手術執刀のメスすら握ることができない、外科医6年目のキャリアを持ちながら採血とガーゼ交換しかしたことがないという手術レベルなど様々な弊害が生じていました。

医局制度屈強の時代にこうした日本の医療システムに辟易した医師たちは海外へ渡り、近年確かな実績と技術習得を持って凱旋してきています。医局制度に権力が集中していた時代であれば、医局を出て海外へ渡るということは異端児に当たり、いくらスキルと実績を持って帰ってきても医局とのパイプがない医師はぞんざいな扱いを受け、受け入れ先がないという厳しさがありました。しかし昨今は海外で実績や臨床経験を積んだ医師たちを積極的に受け入れる民間病院が増え、実力主義志向の医師たちは名医にランキングされ、‘God Hand’‘Super Doctor’の異名を取り、大学教授として招聘されたり、カリスマ医師として活躍しています。

こうした変化からも分かるように医療業界は大きな変革期に入っており、医局制度の解体とともに医師のこれからは確かな技術を身に付けた実力主義の時代に入ろうとしています。一人で何万人もの生命を救うことができる優秀な医師の海外流出を抑え、日本の医療技術底上げを図るためにも、有名無実化してしまっている現代の専門医制度を根本から見直し、医師の実力が正当に評価されるシステム構築が今後最大の課題と言えるでしょう。

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